さぁ、みなさんご一緒に~!

さ、指ならしから始めましょ…2008年03月08日 23時11分

今日はお年寄りの施設で演奏のボランティア。
エレベーターを降りると、階段の前に椅子や机で
バリケード(?)が築いてあって、ちょっと異様。

利用者さんのお顔はだいたい覚えているのだけれど、
今日が初日という方もいらした。彼女はミサキさんという。

そのミサキさん、私が入っていくと挨拶もそこそこに、
楽器の脇に立って「さ、指ならしから始めましょ…」と言う。
外見は品のいい奥さまという感じでシャキッと背筋も伸びて
いるのだけれど、認知症が深刻な様子。
一曲歌い終わるたびに席を立って私の楽譜をめくろうとし、
「次は?」と言う。さては、現役時代は同業者だね。

ミサキさんは私に言った。
「どうせみんな素人なんだから、なんでもいいのよ」って。
ってことは、ミサキさんは現役時代、そういうふうに思い
ながらピアノを弾いていたのかも。正気であれば気持ちの
奥に封じていたことでも、タガがはずれるとストレートに
出てくるものだからね。

ミサキさんが正気の現役同業者だったら、アタシは間違いなく
喧嘩してただろうね。

そうそう、階段前のバリケードは、徘徊癖のあるミサキさんが
階段を使わないようにするためのものだったんですって。