「やばい」という気持ち ― 2006年05月27日 21時44分
ピアノのレッスンの合間、生徒とちょっと深刻な話になることが
ある。この日の話は、私はどう返事をしたらよかったのか、今も
ずっと考えている。
「センセーって中学のとき、いじめっ子だった?それともいじめ
られっ子だった?」と言う。「どっちでもなかったよ」と言いながら
彼の横顔を見ると、目はまっすぐ前を見ている。
「あなたはいじめっ子なんだね?」と聞くと、「オレ、やばいよ。
クラスの一人に向かって、死ねとか、消えろとかって、平気で言っ
ちゃったんだよ」ということだった。「どうして言っちゃったの?」と
聞くと、夢中でその理由を話し始めた。まぁ聞けば、うなづけない
こともない。じっと私を見る彼に、まずは「私もそこにいたら多分、
同じことを言ったと思うけど、大人としては、そうだそうだ、とは
言えないよね」と言うのが精一杯。担任は、それぞれ事情があるん
だから、と言うだけだったという。
「そう言いたくなった気持ちはわかるけど、だからって、一人の人間
に向かって死ねなんて言っていい理由はどこにもないでしょ?」と
言うと、彼は何か感じた様子。「人生相談みたいになっちゃったね」と、
照れ笑いを浮かべながらチラッとこちらを見る。
あとは、彼が「やばい」と言った気持ちに頼るのみ。
最近のコメント